1 4 日目

日付が変わって15分、隔離したお母さんは落ち着いて来た。期待を胸に、エアのホースを抜いて目を凝らしてみる。じーっと見る。しつこく見る。お母さんは相変わらずお腹に卵を抱えたまま特に変化はない。フワフワしている黒いものはお母さんのウンコ。とその横にとてつもなく小さな第一子を確認! うれしい。でも見た目はまるでゴミみたい。

とにかく小さい。1mmくらい? よ〜く見ないと分からない。これはデジカメでは絶対撮れない。顕微鏡が欲しい。印象はミジンコに近いか? 本当はエビの赤ちゃんではなく違う生き物だったりして…。丸みのある本体に尻尾のようなものが一本ついているようだ。その尻尾が上に向いていることが多い。ふわ〜と水中にじっとしているが、たまにピクッと動く。そしてたまにお母さんが暴れる。他はまだ生まれていないようだ。

赤ちゃんのスケッチ ついに赤ちゃんを確認! とてもデジカメで写るような大きさではなかったのでボールペンで絵を描く。ただはっきり言って肉眼では形を見分けるのがツラい。ただでさえ小さい上に色は半透明、しかもペットボトルのデコボコがジャマをする。やっと描いたのが左の絵。二つあるのは二人の人間がそれぞれ見えたものを描いたから。

それから30分後、また見てみる。お母さんはじっとしている。急にお尻を高く持ち上げた。何事か、と一瞬色めき立ったがウンコだった。はっきり言って寄り目で疲れたので、とりあえず今夜はここまでで寝ることにする。

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朝7時半にまたのぞいてみる。どうやら5〜6匹の赤ちゃんが生まれているようだ。お母さんが暴れるとまるで蹴飛ばされているようなので、スポイトで吸ってみる。簡単に吸えたので、そのまま汽水へ投入。汽水側は小さな浮遊物があるため赤ちゃんは見分けがつかない。結局9時頃までに10〜15匹程度を汽水に移した。

午後7時、隠れていたもう1匹のお母さんを見つけたので、もう一つの産院を準備して隔離してみた。やっぱり前のお母さんと同じく暴れまくり。

並んだ産院 仲良く?2つの産院が並んでいる。やっぱり2匹とも暴れまくり(動くのでブレている)。グッピーが容器をつついたりしてまわりも騒がしい。

午後9時すぎにまたのぞく。さっき隔離したばかりのお母さんからも赤ちゃんが生まれた。隔離してから生まれるのって早いんだ〜。もしかして水槽内でも少し生まれてた? 5匹ほどスポイトで移す作業を行う。疲れたので今日はここまで。

 
 
1 5 日目

今日は日曜日。朝10時くらいにのぞいてみると、先に隔離したお母さんが入っている産院容器の底に卵らしき粒が散らばっている。どうやらばらまいたらしい。これがバイブルに書いてあった放り出し、「放出」なのだろうか。卵の一部とかえった赤ちゃんたちはエアの流れにのってグルグル回っていた。とりあえず吸い取れる赤ちゃんのみ汽水に移し、後は卵ごとエアでグルグル回しておく。

卵ばらまいちゃった 卵をばらまいてしまったお母さん。その分お腹にあった卵がほとんど無くなっている。やっぱりこのデジカメでは、まわりに散らばった卵までは見えないかな。いつもより写真のサイズを大きめにはしてみたが…。

午後3時、卵がばらまかれた産院のエアを止め、かえった赤ちゃんをスポイトで吸う。底のほうでユラユラしているので、スポイトで吸うと近くにあるまだかえっていない卵まで一緒に入ってしまう。しょうがないのでその卵ごと汽水へ。

卵をばらまいた後のお母さんは、まるで散らばった卵を食べているかのような動きをするので(手を口へソワソワ動かす…実際に食べているワケでは無いと思う)元の水槽へ戻すことにした。しかしすくうためのアミが大きく、産院の中に入らない。

やむを得ずたまたまあったペットボトルの上部をぶった切ったものへ、産院内の水を卵や赤ちゃんごとソロソロ〜っと移した。最後にお母さんだけが残るので、そのまま水槽へ戻す。するとお母さん大急ぎで水草の影へ。お疲れさま。

別容器に移したまま、生まれていた赤ちゃんはスポイトで吸って汽水へ。残った卵入りの水は主のいなくなった産院へ戻し、エアを強めにかけて再び水槽内の定位置へ。卵は産院の中で竜巻のようにグルグル〜っとまわっている。

あとから隔離したお母さんは今まで通り卵を抱えたまま。少しかえっていた赤ちゃんは汽水へ移動。もう全部で40匹くらい移した? 既に分からなくなってきている。汽水のPET容器をのぞいてみる。エアによって起きる水の流れにのってフワフワしている赤ちゃんが見える。

バイブルには秒速1センチくらいの流れにとどめないと、泳ぐ能力が弱いのでエサが食べられない可能性に触れられている。不安になって三又分岐のコックを調節し、大丈夫そうな水流の速さに調節してみた。赤ちゃんはたまにピコピコ動くが、一体何を食べるのか…。

午後5時、卵だけがグルグル回っている産院のエアを止め、また赤ちゃんをさがす。結構たくさんかえっていた。スポイトで移す作業を行う。小さい赤ちゃんを吸い取るのは結構大変だ。移しているうち、ふと“予備の汽水”と思っていたもう一つのPET容器のことを思い出した。

人工海水の素を水道水に溶かして作った汽水が入っている容器が窓際にあった。以前気まぐれで作ったヤツだ。汲み置きした水ではないし、水槽側の水も外部フィルターの水も入れていない。エアレーションもしていなければヒーターで保温もしていない。きっと微生物なんて発生していないな〜と思い忘れていた。

エビの赤ちゃんはたくさん生まれているし、バイブルによればもっと生まれるようだ。どのみち繁殖の成功率は低いらしいし、ここは一つ“エビのバックアップ”として二つに分けてみよう。そういう不埒な考えから、もう一つの汽水PET容器にも赤ちゃんを入れてみた。

ただ一つの懸念はヒーターが一つしかないこと。本命の汽水PETはヒーターにより水温25度に保っている。でもこちらにはヒーターがないので、水温は室温とほぼ同じと予想される。最近だと大体18〜23度くらいか。昼夜でこれだけの水温差があって良いのか心配だが、まあ何事もチャレンジだ。本命と同じ環境(パーティション)ではバックアップの意味がないのはハードディスクでは当たり前だし。

午後11時、二つある産院の両方で、かえった赤ちゃんを汽水へ移す作業。本命、バックアップの両汽水に均等に入れた。生まれたばかりであんなに小さいのに、いっちょまえにスポイトから逃げようとするヤツもいた。本命側の汽水PET容器をのぞいてみると、たくさんの赤ちゃんがいるのが見える。今日はエビの日だった。

汽水内の赤ちゃんスケッチ 汽水PET容器内をのぞくと、ボトル底のカド部分にたくさん集まってじっとしている赤ちゃんたちが見えた。
 

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